産業医の職場巡視、栃木の企業は月1回何を見る?
産業医と契約したものの、「毎月の職場巡視で、実際に何を見ているのか分からない」と感じている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、職場巡視のルールを整理しながら、現役の産業医が実際の巡視で指摘してきた場面を紹介します。
読み終える頃には、月1回の巡視が「何のためにあるのか」を実感していただけるはずです。
📋 この記事の目次
- 産業医の職場巡視とは?月1回が原則、2か月に1回になる条件
- 産業医が実際に指摘した3つの場面
- 整形外科医だから見える「姿勢」のチェック
- 巡視の順路と事前準備、産業医はこう回っている
- 巡視が形だけになっていた会社で起きたこと
- 栃木の中小企業が巡視を活かすには
- よくある質問
産業医の職場巡視とは?
〜月1回が原則、2か月に1回になる条件〜
職場巡視は産業医が現場を実際に歩いて確認する仕事で、労働安全衛生規則第15条により原則月1回以上と定められています。

労働安全衛生規則第15条が定めていること
職場巡視とは、産業医が事業場内を実際に歩いて確認する業務です。
労働安全衛生規則第15条では、産業医は少なくとも毎月1回、作業場等を巡視することが原則とされています。
作業方法や衛生状態に労働者の健康を害するおそれがあるときは、直ちに健康障害を防止する措置を講じる必要があります。
2か月に1回に減らせる条件と、衛生委員会での手続き
事業者から産業医へ、衛生管理者の巡視結果などの情報が毎月提供され、事業者の同意があれば2か月に1回以上でよいとされています。
ただし衛生委員会での調査審議を経る必要があり、安易な頻度削減はおすすめできません。
「事務所だけ見て終わり」では巡視にならない理由
巡視の目的は、健康障害を未然に防ぐことにあります。
私が担当する現場でも、大きな工場では区画に分けて巡視し、小さな事業場では1回で全体を見て回ります。
💡 ポイント:巡視は「話を聞く場」ではなく「現場を見る場」だと理解しておきましょう。
産業医が実際に指摘しやすい3つの場面
職場巡視では照明や保護具、休憩室の衛生など、日常では見過ごされがちな点が指摘の対象になります。

「なんとなく暗くないですか」→ すぐLEDに変わったデスクワークの職場
あるデスクワークの職場を巡視した際、「なんとなく暗くないですか」と伝えたところ、「確かに暗い」とすぐにLED照明へ切り替わったことがあります。
今振り返ると、照度計で数値を測っておけば、より説得力のある指摘になっていたと感じています。
保護具は「着けていれば何でもいい」ではない
保護具を使う作業について「着けていれば何でもOK」という認識しているケースもあります。
保護具は、作業内容に合ったものを正しく使って初めて意味を持ちます。
夏の休憩室に放置されたペットボトル(衛生面は意外と見落とされる)
夏場、休憩室にペットボトルが放置されていたため、冷蔵庫で保管するよう指導したことがあります。
会社側からは「そんなに気にしたほうがいいですかね」という反応でしたが、責める話ではなく、小さな気づきの積み重ねが大切です。
💡 ポイント:照明・保護具・休憩室など、身近な場所ほど見落とされがちです。
整形外科医だから見える「姿勢」のチェック
整形外科医としての視点から、中腰姿勢や長時間の同一姿勢による腰痛リスクも巡視の重要な確認ポイントです。
中腰・無理な姿勢の作業は、腰痛労災の芽
中腰や無理な姿勢での作業が多い現場では、本人が慣れていて負担に気づいていないことがあります。
台の使用などを勧めることで、腰の痛みが減ったと嬉しい意見がでました。
詳しい予防策は宇都宮の企業向け腰痛予防対策でも解説しています。
デスクワークの「ずっと同じ姿勢」も巡視の対象
デスクワークで常に同じ姿勢のままでいると、腰痛につながるおそれがあります。
私は巡視の際、30〜60分に1回は立つよう指導しています。
業種別の対策は職場の肩こり・腰痛予防の記事もあわせてご覧ください。
💡 ポイント:整形外科の視点を持つ産業医だからこそ、姿勢の問題に気づけます。
巡視の順路と事前準備、産業医はこう回っている
限られた巡視時間の中で、産業医は労災リスクの高い場所を優先し、事前準備と記録を工夫して現場を確認しています。

労災が起きた場所・起きそうな場所を最初に見る
巡視の順路は、労災が起きた場所や、機械が多い、床が濡れやすそうなど労災が起きそうな場所を最初に重点的に回ります。
限られた時間を、危険度の高い場所から使う考え方です。
以前、頭をぶつける労災が起きていた場所には、ヘルメットの使用を勧めたこともあります。
大きな工場では事前に写真をもらう(写っていない所も見る)
大きな工場では、事前に管理者などに各所の写真を撮ってもらい、困っている箇所を重点的に巡視しています。
もちろん、写真に写っていない場所も必ず確認します。
写真があると、社内で情報を共有しやすくなる利点もあります。
同行は衛生管理者、結果は紙で残す
巡視には衛生管理者に同行してもらい、結果は紙にまとめてお渡ししています。
前回の指摘事項や労災・ヒヤリハットの記録が残っていると、巡視の質はさらに深まります。
💡 ポイント:事前準備と記録の積み重ねが、限られた巡視時間を有効に使う鍵です。
巡視が形だけになっていた会社で起きたこと
巡視が形骸化すると、床の配線や地震対策など日常では気づきにくいリスクが放置されやすくなります。
巡視をしていなかった時期は、床の配線や地震対策があいまいだった
巡視が行われず形骸化していた時期があった現場では、床の配線や地震対策があいまいになっていました。
現場を実際に見なければ気づけないリスクは、少なくありません。
外の目が入ると、社内の人が気づかなかった視点が出る
実際に巡視を行うことで、社内の方が気づいていなかった視点をお伝えできることがあります。
外部の目が入ることは、職場の安全を保つうえで大きな意味を持ちます。
巡視してから衛生委員会へ、気づいたことを毎回議題に
私は基本的に巡視のあとに衛生委員会を開き、気づいたことを毎回議題として伝えています(指摘がない回も多くあります)。
産業医と衛生委員会の関係を理解しておくと、巡視結果をより活かしやすくなります。
💡 ポイント:巡視は単発の点検ではなく、衛生委員会と連携して初めて力を発揮します。
栃木の中小企業が巡視を活かすには
予算が限られていても、まずお金をかけない改善から始めることで、巡視の指摘を着実に活かすことができます。
予算がないときは「お金をかけない方法」から
予算に制約がある会社には、まず予算を使わない方法から提案するようにしています。
巡視をしていない状態で労災が発生した場合、安全配慮義務の観点でも会社にとってリスクとなり得ます。
詳しくは安全配慮義務違反の事例もあわせてご確認ください。
50人未満でも巡視は頼めるか
従業員数が常時50人未満の事業場には産業医の選任義務はありませんが、スポット契約や地域産業保健センターの活用という方法があります。
栃木県・宇都宮市で産業医をお探しの場合は産業医の選び方・流れも参考にしてください。
まとめ:巡視は「指摘される場」ではなく「気づきをもらう場」
巡視は会社を責める場ではなく、外部の視点から気づきを得る機会です。
栃木県・宇都宮市で産業医との契約をご検討の際は、まず月1回の巡視から現場の状態を確認してみてはいかがでしょうか。
💡 ポイント:巡視を前向きな気づきの場として活用することが、職場改善の第一歩です。
よくある質問
Q. 産業医の職場巡視は、必ず月1回行う必要がありますか?
A. 労働安全衛生規則第15条により、原則は少なくとも毎月1回です。条件を満たし衛生委員会の審議を経れば2か月に1回にできます。
Q. 職場巡視では、具体的にどこを見ているのですか?
A. 作業現場や休憩室など、労災につながりやすい場所を中心に、照明・保護具・姿勢など幅広く確認しています。
Q. 従業員が50人未満の会社でも、産業医に巡視を頼めますか?
A. 選任義務はありませんが、スポット契約や地域産業保健センターの活用で巡視を依頼することは可能です。
Q. 巡視で指摘された内容に、すぐ対応できない場合はどうすればよいですか?
A. まずは予算をかけない方法から改善を進め、産業医に相談しながら段階的に対応することをおすすめします。
産業医のご契約・ご相談はお気軽に
「どんな産業医が必要か分からない」「まず話を聞いてみたい」という段階でも大丈夫です。
中小企業の状況に合わせた、現実的なサポートをご提案します。
参考文献・参考URL
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断・法的判断の代わりとなるものではありません。 産業保健上の具体的な対応については、産業医・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。 掲載内容は執筆時点の法令・ガイドラインに基づいており、最新情報は厚生労働省等の公式サイトをご確認ください。
