50人未満も義務化へ!ストレスチェック、いつ・何をすれば?

「うちは社員が少ないから、ストレスチェックは関係ない」——そう思っていませんか?
実は2025年5月に法律が改正され、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されることが決まりました。
「何をすればいい?」「いつから?」「お金はかかる?」という疑問に、産業医の視点からわかりやすくお答えします。

ストレスチェックって何?まず基本を押さえよう

ストレスチェックとは、従業員のメンタルヘルス(心の健康状態)を数値化して把握するための検査です。
アンケート形式で仕事のストレスを測り、本人にフィードバック。
ストレスが高い人(高ストレス者)は、希望すれば産業医に相談できます。

何のためにやるの?

主な目的は大きく2つあります。

  • 本人が自分のストレスに気づくきっかけをつくる
  • 職場全体の問題を見つけ、環境を改善する

「メンタル不調の早期発見・早期対応」ができる仕組みで、
うつ病による長期休職や労災を防ぐ効果が期待されています。

いま誰に義務があるの?

現在は常時50人以上の労働者を使用する事業場に対して、
労働安全衛生法第66条の10に基づき年1回のストレスチェック実施が義務づけられています。
50人未満は「努力義務」——やることが望ましいけれど、やらなくても罰則はない、という扱いでした。

💡 ポイント

ストレスチェックの法的根拠は労働安全衛生法第66条の10
これまで50人未満には特例がありましたが、今回の改正でその特例が削除されます。

なぜ今、50人未満まで義務化?その背景

「なぜいまさら?」と思われるかもしれません。
実は、この改正には明確な理由があります。

精神障害の労災が過去最多を更新中

厚生労働省の統計によると、仕事が原因のうつ病などの精神障害による労災認定件数は急増しています。

  • 令和5年度(2023年度):883件(過去最多)
  • 令和6年度(2024年度):1,055件(さらに過去最多を更新)

メンタル不調は「大企業の問題」ではありません。
社員20人の会社でも、職場の人間関係や長時間労働で追い詰められることはあります。
だからこそ、「実は50人未満こそリスクが高い」という声も専門家から上がっていました。

50人未満の実施率はたったの34%

努力義務だった50人未満事業場では、ストレスチェックを実際にやっている会社はわずか約34.6%
国が目標とする50%にも届かず、対策が急務となりました。

💡 ポイント

労災精神障害の認定件数が過去最多を更新し続ける中、「規模に関係なくすべての働く人を守る」という方針のもと、2024年10月に厚生労働省の検討会が全事業場への義務化を提言。
2025年5月に法改正が成立しました。

いつから?どう変わる?2028年までの義務化の全貌

「義務化」と聞くと「すぐ対応しなきゃ?」と焦る方もいるかもしれません。
まず、スケジュールを整理しましょう。

改正法のスケジュール

  • 2025年3月14日:改正法案が閣議決定
  • 2025年5月14日:改正法が公布(令和7年法律第33号)
  • 50人未満への義務化施行:「公布後3年以内に政令で定める日」= 最長2028年5月まで(2028年4月頃の施行が有力)

⚠️ 注意

具体的な施行日は今後の政令で確定します。
「2028年まで余裕がある」と思わず、今から準備を進めることが大切です。
準備に1〜2年かかるケースも多く、直前では間に合わない可能性があります。

義務化後に求められること

  • 年1回以上のストレスチェック実施(労働安全衛生法第66条の10第1項
  • 高ストレス者への医師面接指導(申し出から1か月以内)
  • 結果の5年間保存
  • 50人未満事業場でも「実施者」(医師・保健師など)の確保が必要

💡 ポイント

厚生労働省は2026年2月25日に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しされました。
50人未満向けに特化したガイドラインで、外部委託の活用を原則として推奨しています。

実際にどうやるの?6ステップで完全解説

「やり方がわからない」という方が最も多い疑問です。
厚生労働省のマニュアルに基づき、シンプルに解説します。

Step 1:実施方針を決める

経営トップが「やる」と意思決定し、担当者(人事・総務など)を決めます。
外部に委託するか、自社でやるかもここで決めましょう。
※小規模事業場は外部委託が原則推奨です。

Step 2:実施者を選任する

ストレスチェックは、医師・保健師・一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士が「実施者」となる必要があります。
外部サービスを使えば、実施者もセットで提供されるケースがほとんどです。

Step 3:従業員に事前説明する

「何のためにやるのか」「結果は会社に筒抜けにならない」ということを丁寧に伝えましょう。
不信感があると回答率が下がります。

Step 4:チェックを実施する

厚生労働省推奨の「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を使用。
紙またはWebアンケートで実施します。
所要時間は1人10〜15分程度です。

Step 5:結果を通知・高ストレス者に対応する

結果は本人に直接通知(会社には通知しない)。
高ストレス者が希望した場合は、1か月以内に医師が面接指導を実施します。

Step 6:記録を5年間保存する

個人の結果データや集団分析の結果は、5年間適切に保管します。

💡 ポイント

集団分析(部署ごとの集計・分析)も実施すると、職場環境の改善につながります。
ただし集団分析は義務ではなく努力義務
外部委託サービスでは自動で提供してくれることが多いです。

費用はいくら?意外と使える無料支援も

「小さい会社にそんな余裕はない…」と心配される方も多いと思います。
実際のコストと使える公的支援を確認しましょう。

民間サービスの費用目安

  • 実施費用(1人あたり):300〜1,000円
  • 初期・基本料金:20,000〜50,000円(事業場あたり)
  • 高ストレス者の医師面接(1人):10,000〜50,000円

例えば社員20人の会社なら、年間の総費用は3〜5万円程度が目安です。
クラウド型のWebサービスを使えばさらに安くなるケースもあります。

無料で使える「地域産業保健センター(地さんぽ)」

実は、50人未満の事業場を対象に無料で支援してくれる公的機関があります。
それが地域産業保健センター(通称:地さんぽ)です。

  • 高ストレス者への医師面接指導(無料
  • 従業員の健康相談(無料
  • 事業場への個別訪問指導(無料

全国の都道府県に設置されており、厚生労働省「こころの耳」のサイトから最寄りのセンターを検索できます。
費用の心配が大きい会社は、まずここに相談するのがおすすめです。

💡 ポイント

高ストレス者への医師面接は、費用が高額になりやすい部分です。

地域産業保健センター(地さんぽ)を活用すればこの部分を無料にでききます
ストレスチェック自体は民間サービス、面接指導は地さんぽ、という組み合わせも有効。

よくある不安Q&A「うちみたいな小規模でもできる?」

小規模事業場特有の不安にお答えします。

Q. 人数が少ないと個人が特定されてしまいそう…

A. 集団分析は10人以上のグループが原則です。
それ以下では集団分析を実施しなければOK。
個人の結果は会社に知らせない仕組みになっているので安心してください。

Q. 産業医を雇わないといけないの?

A. 50人未満は産業医の選任義務がありません(努力義務)。
ストレスチェックの「実施者」は外部委託サービスが提供してくれるため、
産業医を新たに選任しなくても対応可能です。

Q. 会社が複数の小拠点に分かれている場合は?

A. ストレスチェックは「事業場単位」で実施します。
本社5人・支店3人のような場合、それぞれが「50人未満事業場」として扱われます。
ただし、実態に応じて柔軟な運用が認められるケースもあるので、社労士(社会保険労務士)への相談をおすすめします。

💡 ポイント

「難しそう」と感じたら外部委託で完全アウトソースするのが最短ルート。

厚生労働省の小規模事業場マニュアルも「外部委託を原則推奨」と明記しており、専門家に任せることが公式の推奨です。

まとめ:今から準備を始めれば怖くない

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 法改正は2025年5月成立。50人未満への義務化施行は最長2028年5月
  • 根拠法は労働安全衛生法第66条の10(附則の特例が削除)
  • 精神障害の労災は令和6年度に1,055件と過去最多。小規模事業場も他人事ではない
  • 実施費用は1人あたり300〜1,000円程度。20人規模なら年間3〜5万円が目安
  • 医師面接指導は地域産業保健センター(地さんぽ)が無料で対応可能
  • 外部委託サービスを使えば、専門知識がなくてもすべてアウトソースできる

「義務化はまだ先の話」と後回しにしてしまうと、いざ施行されたときに準備が間に合いません。
だからこそ、今のうちに情報収集と準備を始めることが、会社と従業員を守ることにつながります。

「うちの会社はどう対応すればいいの?」と思ったら、ぜひ産業医や専門家に相談してみてください。

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「どんな産業医が必要か分からない」「まず話を聞いてみたい」という段階でも大丈夫です。
中小企業の状況に合わせた、現実的なサポートをご提案します。


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参考文献・参考URL


【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断・法的判断の代わりとなるものではありません。
産業保健上の具体的な対応については、産業医・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
掲載内容は執筆時点の法令・ガイドラインに基づいており、最新情報は厚生労働省等の公式サイトをご確認ください。
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