就業判定は50人未満も義務?宇都宮の相談先ガイド

「健康診断で異常所見が出た社員がいるが、うちは50人未満なので何をすればいいのか分からない」というかたはいらっしゃいませんか?

この記事では、就業判定の基本と、地域産業保健センターやスポット産業医の使い分けについて、産業医の立場からわかりやすく解説します。

📋 この記事の目次

  1. 健康診断後の就業判定とは何か
  2. 50人未満の事業所でも就業判定は義務になる
  3. 地域産業保健センター(さんぽセンター)の活用方法
  4. スポット産業医の活用方法
  5. 地域産業保健センターとスポット産業医の比較・選び方
  6. よくある質問

そもそも健康診断後の就業判定とは何か

そもそも就業判定とは、健康診断の結果をもとに医師の意見を聴き、会社が労働者の働き方を決める手続きであり、労働安全衛生法に基づく義務です。

就業判定(就業区分)の3つの分類

人事担当者
人事担当者
健診で『要注意』となった社員がいるのですが、何をすればいいのでしょうか…
産業医
産業医
まずは医師の意見を聴いたうえで、就業区分を決める必要がありますね。

就業判定とは、健康診断の結果に基づいて、労働者が今までどおり働けるかどうかを会社が判断する手続きです。

判定の結果は「通常勤務」「就業制限」「要休業」の3つの区分に分かれます。

区分内容
通常勤務通常の勤務を続けても問題ない状態
就業制限労働時間の短縮や作業内容の変更などが必要な状態
要休業療養のため休業させる必要がある状態
健康診断後の就業判定における就業区分の3分類(通常勤務・就業制限・要休業)と会社の対応を示した図

この判定は医師の意見を聴いたうえで、最終的に事業者が決定するものです。

なお「通常勤務」と判定された場合でも、健診結果に所見があれば受診勧奨や保健指導は別途必要です。

就業区分は「働き方に制限をかけるかどうか」の区分であり、健診機関の判定(要再検査など)とは別のものだからです。

健診結果に異常所見があった場合は、放置せず速やかに次のステップへ進むことが大切です。

要休業と判定された社員への対応は、休職・復職支援のご相談もあわせて承っております。

健診実施から意見聴取までの期限

人事担当者
人事担当者
意見聴取は、いつまでにやればいいのでしょうか?
産業医
産業医
健康診断を実施した日から、3か月以内に行う必要がありますよ。

労働安全衛生規則第51条の2は、健康診断実施日から3か月以内に医師等の意見を聴くよう定めています。

健康診断の実施から医師の意見聴取(3か月以内)、就業上の措置、個人票の保存までの就業判定の流れを示した図

健診結果が届いてから慌てて動き出すと、期限に間に合わなくなるおそれがあります。

健診実施日を起点に、逆算してスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

就業判定は健診結果を放置せず、期限内に医師の意見を聴くことから始まります。

💡 ポイント:健診実施日をカレンダーに登録し、2か月後にはリマインドが届くようにしておくと安心です。

50人未満の事業所でも就業判定は義務になる

従業員数にかかわらず、健康診断後の意見聴取と就業判定は事業者の義務であり、50人未満でも免除されません。

従業員数にかかわらず課される事業者の義務

人事担当者
人事担当者
うちは50人未満で産業医もいないので、就業判定は関係ないですよね?
産業医
産業医
いいえ、それは誤解です。人数にかかわらず意見聴取の義務はありますよ。

産業医の選任義務は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に課されるものです。

項目50人未満50人以上
産業医の選任義務なしあり
健診結果の意見聴取義務ありあり

産業医の選任義務がないことと、意見聴取の義務がないことは、まったく別の話です。

「産業医がいないから対応不要」と誤解したまま放置すると、労働基準監督署の指導対象になるおそれがあります。

産業医がいない場合に誰が意見を聴くのか

人事担当者
人事担当者
では、産業医がいないうちは、誰に意見を聴けばいいのでしょうか?
産業医
産業医
地域産業保健センターや、スポット産業医という選択肢がありますよ。

産業医がいない事業所では、地域産業保健センターやスポット産業医に意見聴取を依頼することができます。

顧問医や地域の医師会に相談できるケースもありますが、まずは公的な窓口を検討する企業様が多い印象です。

それぞれの特徴は、次の章から詳しくご紹介します。

50人未満でも意見聴取の義務は変わらず、依頼先を確保しておくことが重要です。

💡 ポイント:「産業医の選任義務」と「意見聴取の義務」は別物と覚えておきましょう。

地域産業保健センター(さんぽセンター)の活用方法

地域産業保健センターは、50人未満の事業所が無料で使える公的な相談窓口で、健診結果の意見聴取にも対応しています。

地域産業保健センターとは・提供サービス

人事担当者
人事担当者
地域産業保健センターというのを聞いたのですが、どんなところですか?
産業医
産業医
50人未満の事業所向けに、国が用意している無料の相談窓口ですよ。

地域産業保健センターは、労働基準監督署の管轄区域ごとに設置されている公的な支援機関です。

健康診断結果についての医師の意見聴取のほか、長時間労働者への面接指導なども無料で受けられます。

栃木県内では、栃木産業保健総合支援センターを通じて、お住まいの地域の窓口を確認できます。

健診結果でお困りの際は、まず事後措置の進め方を確認したうえで、窓口への相談を検討してみてください。

利用回数の上限と「お断りする場合がある」ケース

人事担当者
人事担当者
無料なら、いつでも何度でもお願いできるのでしょうか?
産業医
産業医
実は、利用回数には上限が設けられているんです。

栃木産業保健総合支援センターによると、同じ事業場または同じ労働者からの申込による利用は、2回までとされています。

この事業は新規の事業場を優先する目的があるため、継続的な支援の提供をお断りする場合があると案内されています。

また、大企業の支店・営業所で常時50人未満の事業所は、本社等の産業医の協力を得る扱いとされ、基本的に対象に含まれません。

⚠️ 注意:無料で心強い制度ですが、「毎年必ず使える窓口」ではない点は理解しておく必要があります。

地域産業保健センターは頼れる公的窓口ですが、利用回数には制度上の線引きがあります。

💡 ポイント:利用枠を使い切る前に、次の依頼先の候補も考えておくと安心です。

スポット産業医の活用方法

スポット産業医は契約不要で単発依頼ができるサービスで、利用枠を使い切った場合や急ぎの対応に向いています。

スポット産業医とは・向いているケース

人事担当者
人事担当者
地域産業保健センターの枠を使い切ってしまったら、どうすればいいですか?
産業医
産業医
そういった場合は、スポット産業医への依頼が有効な選択肢になりますよ。

スポット産業医とは、顧問契約を結ばずに、就業判定などを単発で依頼できるサービスです。

地域産業保健センターの利用枠を使い切った場合や、対象外と案内された場合の受け皿として活用されています。

結果を急いで確認したい場合にも、比較的柔軟に対応してもらいやすいという特徴があります。

依頼の流れと準備するもの

人事担当者
人事担当者
依頼するときは、何を準備しておけばいいのでしょうか?
産業医
産業医
健診結果一覧と、従業員の働き方が分かる資料を用意しておくとスムーズですよ。

依頼の流れは、問い合わせ、必要書類の提出、医師による確認、意見書の受領という順に進みます。

準備する資料は、健診結果一覧と、従業員の作業内容や勤務形態が分かる資料の2点が中心です。

事前に残業時間や職場の状況を伝えておくと、判定の精度が上がりやすくなります。

費用については事業所ごとに条件が異なりますので、まずはお問い合わせください。

スポット産業医は、公的窓口を補う柔軟な選択肢として検討する価値があります。

💡 ポイント:健診結果一覧と勤務状況が分かる資料は、事前に準備しておくと依頼がスムーズです。

地域産業保健センターとスポット産業医の比較・選び方

まずは無料の地域産業保健センターを検討し、利用枠を使い切った場合や急ぎの場合はスポット産業医を組み合わせるのがおすすめです。

地域産業保健センターとスポット産業医を費用・利用回数・継続利用・向いているケースで比較した図

対応スピード・利用回数・継続性の比較

人事担当者
人事担当者
結局、どちらを選べばいいのか迷ってしまいます…
産業医
産業医
状況によって向き不向きがあるので、比較して考えてみましょう。
項目地域産業保健センタースポット産業医
費用無料有料(要問い合わせ)
利用回数同一事業場・同一労働者は2回まで回数の制約なし
継続利用お断りされる場合がある毎年でも依頼可能

地域産業保健センターは無料で心強い一方、利用回数には制約があります。

スポット産業医は回数の制約がなく、急ぎの対応や毎年の依頼にも対応しやすい特徴があります。

自社の状況別・おすすめの選び方

利用枠が残っていて急ぎでもない場合は、まず地域産業保健センターへの相談をおすすめします。

利用枠を使い切った場合や、継続利用を断られた場合、対象外だった場合は、スポット産業医の活用を検討しましょう。

将来的に従業員が50人を超える見込みがある場合は、顧問産業医との契約も視野に入れておくと安心です。

宇都宮市・栃木県内で産業医をお探しの際は、選び方や契約までの流れもあわせてご確認ください。

状況に応じて2つの窓口を使い分けることで、無理なく就業判定の義務に対応できます。

💡 ポイント:「まず無料窓口、足りなければスポット産業医」という順番で考えると迷いにくくなります。

よくある質問

Q. 就業判定とは何ですか?

A. 健康診断の結果をもとに医師の意見を聴き、会社が「通常勤務」「就業制限」「要休業」を決める手続きです。

Q. 従業員が50人未満でも就業判定は必要ですか?

A. はい。産業医の選任義務がなくても、健診結果についての意見聴取・就業判定の義務は免除されません。

Q. 地域産業保健センターは何回でも利用できますか?

A. いいえ。同じ事業場・同じ労働者からの申込による利用は2回までとされ、継続利用をお断りされる場合もあります。

Q. 地域産業保健センターが利用できない場合はどうすればいいですか?

A. スポット産業医への単発依頼が選択肢になります。契約不要で、急ぎの就業判定にも対応しやすい特徴があります。

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「どんな産業医が必要か分からない」「まず話を聞いてみたい」という段階でも大丈夫です。
中小企業の状況に合わせた、現実的なサポートをご提案します。

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参考文献・参考URL


【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断・法的判断の代わりとなるものではありません。 産業保健上の具体的な対応については、産業医・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。 掲載内容は執筆時点の法令・ガイドラインに基づいており、最新情報は厚生労働省等の公式サイトをご確認ください。
鈴木 貴大のイメージ
UpBE産業医事務所 代表/産業医・整形外科専門医
鈴木 貴大
整形外科医として、多くの労災患者を診てきました。 そのため、腰痛・けが・労災など「身体と仕事」の判断に強い産業医です。 現在は栃木県内で、製造・金融・小売など幅広い業種の企業をサポートしています。 メンタル不調への対応、休職・復職の判断、健康経営づくりもお任せください。 初回のご相談は無料です。「聞くだけ」の段階でも、お気軽にどうぞ。
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